「もし自分や夫が、長い間働けなくなったら——」。考えたくないけれど、子育て世帯にとっては正直、無視できないリスクなんですよね。死亡に備える保険には入っていても、「働けなくなったとき」への備えはすっぽり抜けているご家庭が意外と多いんです。
この記事では、働けなくなったときに家計がどうなるのかをシミュレーションし、公的保障でどこまでカバーできるか、就業不能保険が必要なのはどんな人かを整理します。「不安だから入る」ではなく「自分の場合に本当に必要か」を判断できるようにしますね。
働けなくなったときの家計シミュレーション
まず、収入が止まったときに家計に何が起きるかを見てみましょう。働けなくなっても、生活費・住居費・教育費といった支出はほとんど減りません。むしろ治療費や通院交通費が増えることもあります。
| 項目 | 働いているとき | 長期間働けないとき |
|---|---|---|
| 給与収入 | あり | 止まる(または大幅減) |
| 生活費・住居費 | 必要 | ほぼ変わらず必要 |
| 教育費 | 必要 | ほぼ変わらず必要 |
| 医療費 | 通常範囲 | 増えることが多い |
つまり「収入は止まるのに支出は続く」という状態。貯蓄を取り崩して耐えることになりますが、それが半年、1年と続くと家計はかなり苦しくなります。我が家の場合はどれくらい持ちこたえられるか、貯金目標シミュレーターや家計バランス診断で一度確認しておくと、リスクの大きさが具体的に見えてきますよ。
公的保障でどこまでカバーできる?
「働けなくなったら全部自己責任」というわけではありません。日本には公的な保障がいくつかあります。代表的なのが傷病手当金です。
傷病手当金は、健康保険に加入している会社員などが、病気やケガで連続して働けなくなったとき、一定の条件を満たすと支給される給付です。給与のおよそ3分の2程度が、一定期間まで支給される仕組みになっています(支給には条件・期間の上限があります)。さらに障害が残った場合には障害年金の対象になることもあります。
ただ、ここで大事なのは「公的保障は給与の満額を補ってくれるわけではない」ということ。3分の2程度ということは、収入は3分の1ほど減るわけですよね。期間にも上限があります。公的保障でカバーしきれない部分——ここをどう備えるかが、就業不能保険を考えるうえでの出発点なんです。
会社員と自営業で大きく違う
ここはとても重要なポイントです。公的保障の手厚さは、働き方によって大きく違います。
| 働き方 | 傷病手当金 | 備えの必要度 |
|---|---|---|
| 会社員(健康保険) | 対象になる場合が多い | 不足分を補う備え |
| 自営業・フリーランス(国民健康保険) | 原則対象外 | 備えの必要度が高い |
会社員は傷病手当金という土台がある一方、自営業やフリーランスは傷病手当金の対象外であることが一般的です。つまり働けなくなった瞬間に収入がほぼゼロになりやすい。だから自営業の世帯ほど、就業不能保険など民間の備えを真剣に検討する必要があるんです。「夫は会社員だから安心」と思っていても、自分がフリーランスなら話は別、ということもありますよね。
就業不能保険の保障内容
就業不能保険は、病気やケガで長期間働けない状態が続いたときに、毎月一定の給付金を受け取れる保険です。死亡保険が「亡くなったとき」、医療保険が「入院・手術」に備えるのに対し、就業不能保険は「働けない期間の収入減」に備えるという位置づけなんです。
商品によって仕組みはさまざまですが、よくあるポイントはこんな感じです。
- 支払対象外期間(免責期間)——働けなくなってから給付開始までに一定の待機期間がある。
- 給付金額——月10万円、20万円など、自分で設定する。
- 給付期間——回復するまで、または60歳・65歳までなど。
- 対象となる状態の範囲——精神疾患を対象に含むか、入院だけでなく在宅療養も含むかなどは商品差が大きい。
「どんな状態のときに、いつから、いくら、いつまで」もらえるのか——この4点が商品ごとに違うので、必ず確認したいところです。
就業不能保険の選び方
選ぶときの軸を整理しておきますね。まず給付金額は「毎月の支出 − 公的保障で見込める額 − 取り崩せる貯蓄」で考えると過不足が出にくいです。多すぎる保障は保険料の負担になるだけなので、必要な分にしぼるのがコツです。
次に給付期間と免責期間。給付期間が長いほど安心ですが保険料は上がります。免責期間が短いほど早く給付が始まりますが、こちらも保険料に反映されます。家計の貯蓄でどれくらいの期間しのげるかと相談して決めましょう。
そして保障の対象範囲。とくに精神疾患を対象に含むかどうかは見落としやすいので確認を。今入っている保険と保障が重なっていないかも大切です。保険の適正度診断や生命保険の必要保障額チェックを使うと、家計全体での保険のバランスが見えてきます。
必要性をどう判断する?
最後に「うちは入るべき?」の判断軸です。次のような世帯は、就業不能保険の必要度が高めと言えます。
- 自営業・フリーランスで、傷病手当金の対象外
- 共働きでなく、一人の収入に家計を頼っている
- 住宅ローンや教育費など、固定的な支出が大きい
- 働けない期間を支えられるほどの貯蓄がまだない
逆に、共働きで収入源が複数あり、貯蓄も十分にあるなら、優先度は下がります。保険はあくまで「自力でカバーしきれないリスク」に備えるもの。不安をすべて保険で埋めようとすると保険貧乏になってしまうので、バランスが大切なんですよね。
まとめ:収入が止まるリスクに目を向けて
就業不能保険は、死亡や入院に比べて見落とされがちですが、「働けなくなって収入が止まる」というのは子育て世帯にとって現実的なリスクです。まず公的保障でどこまでカバーできるかを把握し、会社員か自営業かで備えの必要度が大きく変わることを理解したうえで、不足分を保険で補う——この順番で考えてみてください。
家計全体の保険バランスは保険の適正度診断で、ほかの保険記事は保険の記事一覧で確認できます。必要な備えを、必要な分だけ。あなたのご家庭が安心して暮らせますように。