「入院したら何十万円もかかるから、医療保険は絶対に必要!」と思っていませんか?正直なところ、日本の公的医療保険は世界的に見てもかなり手厚いんです。
その代表が高額療養費制度。この制度を知っているかどうかで、医療保険に対する考え方がガラッと変わります。「なんとなく不安だから」ではなく、数字で判断してみましょう。
知らないと損する「高額療養費制度」
高額療養費制度とは、1ヶ月(同じ月内)の医療費の自己負担額に上限を設ける公的な制度です。上限を超えた分は、あとから払い戻されます。上限額は年収によって異なります。
| 年収の目安 | 自己負担の上限額(月額) | 計算式 |
|---|---|---|
| 〜約370万円 | 57,600円 | 定額 |
| 約370〜770万円 | 約80,100円+α | 80,100円+(医療費−267,000円)×1% |
| 約770〜1,160万円 | 約167,400円+α | 167,400円+(医療費−558,000円)×1% |
| 約1,160万円〜 | 約252,600円+α | 252,600円+(医療費−842,000円)×1% |
つまり、年収500万円の家庭なら、たとえ医療費が100万円かかっても自己負担は約87,000円で済むんです。びっくりしますよね。さらに、過去12ヶ月で3回以上上限に達すると「多数回該当」となり、4回目以降は44,400円まで下がります。
医療保険の平均月額と30年間の総額
医療保険の平均的な保険料は以下の通りです。
| 年齢 | 月額保険料(入院日額5,000円の場合) |
|---|---|
| 30歳女性 | 約2,000〜3,000円 |
| 30歳男性 | 約2,500〜3,500円 |
| 40歳女性 | 約3,000〜4,500円 |
| 40歳男性 | 約3,500〜5,000円 |
月3,000円でも30年間で108万円、月5,000円なら180万円になります。「この金額を自分で貯蓄・運用した方がいいのでは?」という考え方も成り立つわけです。
医療保険が必要なケース・不要なケース
医療保険が必要なケース
- 貯蓄が100万円以下で、急な出費に対応できない
- 自営業・フリーランスで、傷病手当金がない
- 家族に特定の病歴があり、リスクが高いと感じる
- 先進医療(保険適用外)に備えておきたい
医療保険が不要なケース
- 貯蓄が200万円以上ある
- 会社員・公務員で、傷病手当金(給与の約2/3)が出る
- すでに高額療養費制度を理解している
- 健康保険組合の付加給付がある(大企業に多い。自己負担上限が月2〜3万円に)
特に、大企業の健康保険組合に入っている場合は「付加給付」という制度で、自己負担が月2〜3万円に抑えられることがあります。夫の会社の健保のホームページを一度チェックしてみてください。
入院時の実際の費用シミュレーション
「高額療養費があるのはわかったけど、他にもお金がかかるんじゃない?」。その通りです。保険適用外の費用も見てみましょう。
| 費用項目 | 金額の目安(1日あたり) | 高額療養費の対象 |
|---|---|---|
| 医療費(3割負担分) | — | 対象 |
| 差額ベッド代(個室) | 6,000〜20,000円 | 対象外 |
| 食事代 | 490円×3食=1,470円 | 対象外 |
| 日用品・パジャマ | 500〜1,000円 | 対象外 |
| テレビカード・Wi-Fi | 200〜500円 | 対象外 |
差額ベッド代は大きいですが、希望しなければ個室に入る必要はありません。大部屋なら差額ベッド代は0円です。年収500万円の人が7日間入院した場合(大部屋)のシミュレーションはこちら。
- 高額療養費適用後の医療費:約80,000円
- 食事代:約10,000円
- 日用品など:約5,000円
- 合計:約95,000円
つまり、10万円以下で済むケースが多いんです。これなら貯蓄でも十分カバーできますよね。
貯蓄で備える vs 保険で備える
| 比較項目 | 貯蓄で備える | 医療保険で備える |
|---|---|---|
| 月のコスト | 自由に設定できる | 月3,000〜5,000円で固定 |
| 使わなかった場合 | 手元に残る | 掛け捨てで戻らない |
| 入院が早期に発生 | 貯蓄が足りない可能性 | 保障される |
| 柔軟性 | 何にでも使える | 入院・手術のみ |
| 30年間の総コスト | 108万円(運用益も期待できる) | 108万円(掛け捨て) |
ぶっちゃけ、貯蓄が200万円以上あるなら「医療保険を解約して、その分を毎月積み立てる」という選択は合理的です。
がん保険は別枠で考えるべき理由
医療保険全般は不要でも、がん保険は検討の価値ありです。理由はこちらです。
- がんの治療は長期化しやすく、通院治療が数年続くこともある
- 先進医療や自由診療は高額療養費の対象外
- 抗がん剤治療中は働けないことが多く、収入が減る
- がん保険は一時金タイプなら使い道が自由
がん診断一時金100万円のがん保険なら、月1,000〜2,000円程度で加入できます。「医療保険は卒業、でもがんだけは別枠で備える」という考え方は、とても合理的です。
保険全体のバランスを見直そう
医療保険を見直すなら、生命保険や火災保険も含めて家計全体でチェックするのがおすすめです。保険料は固定費の中でも大きな割合を占めます。医療保険比較ツール で必要性を確認し、保険適正診断ツール で全体のバランスを見てみましょう。生命保険の見直しは 生命保険の見直しガイド が参考になります。
まとめ
医療保険が必要かどうかは、貯蓄額・働き方・健康保険組合の給付内容で決まります。高額療養費制度の仕組みを知るだけで、保険に対する見方が大きく変わるはず。不安だけで判断せず、数字で考えてみてくださいね。保険全般については 保険カテゴリ でまとめて読めます。